概要
腹部大動脈および末梢血管疾患の治療に力を注いでいます。
血管外科は血管、リンパ管など脈管に関連する診療・外科治療を行います。
血管には動脈と静脈があり、それぞれに閉塞性疾患と拡張性疾患があります。
血管には動脈と静脈があり、それぞれに閉塞性疾患と拡張性疾患があります。
主な対象疾患
- 急性動脈閉塞
- 慢性動脈閉塞
- 閉塞性動脈硬化症
- 動脈瘤
- 腹部大動脈瘤
- 下肢深部静脈血栓症
- 下肢静脈瘤
※上記は一例です。
診療内容
動脈病変/閉塞性疾患
急性動脈閉塞
急性動脈閉塞には、動脈塞栓症と動脈血栓症があります。
いずれの場合も症状は、
(1)疼痛(pain)
(2)脈拍消失(pulselessness)
(3)蒼白(pallor)
(4)知覚異常(paresthesias)
(5)麻痺(paralysis)
が有名でそれぞれの頭文字をとって5Pと呼ばれています。
原因を問わず肢切断に至る可能性がある急激な血流減少であり、通常その症状は、急性のイベントに引き続き2週間にわたって続きます。一般に知覚異常を伴う場合血行再建の適応となります。血栓塞栓除去を行っても血栓症の場合には血流改善不良となる例があり血栓症の予後は必ずしも良くありません。
発症からのgolden timeは約8時間です。早急な治療を開始しないと血行再建後に再灌流傷害を発症して死に至るために治療の遅れは肢切断を余議なくされます。
いずれの場合も症状は、
(1)疼痛(pain)
(2)脈拍消失(pulselessness)
(3)蒼白(pallor)
(4)知覚異常(paresthesias)
(5)麻痺(paralysis)
が有名でそれぞれの頭文字をとって5Pと呼ばれています。
原因を問わず肢切断に至る可能性がある急激な血流減少であり、通常その症状は、急性のイベントに引き続き2週間にわたって続きます。一般に知覚異常を伴う場合血行再建の適応となります。血栓塞栓除去を行っても血栓症の場合には血流改善不良となる例があり血栓症の予後は必ずしも良くありません。
発症からのgolden timeは約8時間です。早急な治療を開始しないと血行再建後に再灌流傷害を発症して死に至るために治療の遅れは肢切断を余議なくされます。
慢性動脈閉塞
末梢動脈疾患(PAD)、閉塞性動脈硬化症(ASO)とも呼ばれていた疾患で、全身の動脈硬化症を原因として四肢主幹動脈に粥状硬化性変化による狭窄・閉塞を生じる病態です。頸動脈の病変は脳神経外科が担当します。
症状は冷感・しびれ(Fontaine分類I度)に始まり、間歇性跛行(一定距離を歩くと痛みのため歩行距離が制限される)(Fontaine分類II度)、安静時痛(Fontaine分類III度)・潰瘍、壊死(Fontaine分類IV度)に至ります。
治療対象はFontaine分類II度以上で血流状態を把握後適応に応じて運動療法、薬物療法、血行再建術を実施しています。
血行再建術のうち血管内治療(風船で狭窄部で膨らませる等)は放射線科が担当し血管外科はバイパス術を行います。
症状は冷感・しびれ(Fontaine分類I度)に始まり、間歇性跛行(一定距離を歩くと痛みのため歩行距離が制限される)(Fontaine分類II度)、安静時痛(Fontaine分類III度)・潰瘍、壊死(Fontaine分類IV度)に至ります。
治療対象はFontaine分類II度以上で血流状態を把握後適応に応じて運動療法、薬物療法、血行再建術を実施しています。
血行再建術のうち血管内治療(風船で狭窄部で膨らませる等)は放射線科が担当し血管外科はバイパス術を行います。
動脈病変/拡張性疾患
動脈の拡張性疾患は動脈瘤と言われるものでその病変部位を頭に付けた病名で呼ばれています。具体的には脳動脈瘤、冠動脈瘤、大動脈瘤(胸部・腹部)などがあります。血管外科では腹部大動脈以下の動脈瘤を対象としています。脳動脈瘤は脳神経外科の、冠動脈瘤や胸部大動脈瘤は心臓外科の対象疾患となります。
腹部大動脈瘤
腎動脈以下の大動脈は径2cm以下が正常とされ3cm以上を動脈瘤と定義します。大動脈が瘤化しても自覚症状はなく健診や他の疾患のためにCTや超音波検査を施行されて偶然発見されることがほとんどです。また破裂してはじめて動脈瘤が診断されることも少なくありません。腹部大動脈瘤は破裂すると激痛と急激なショック状態に陥り、死に至ることが多くあります。成因はそのほとんどが動脈硬化性でその他に感染性や炎症性などがあります。
高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満などの危険因子をしっかり内科的に治療し、破裂の危険性が高いと判断されれば外科的治療の対象となります。
当院では4cm以上で急速な増大傾向(0.5cm以上/3か月)にあるものを手術適応としています。手術方法としては開腹による人工血管置換術と血管内治療によるステントグラフト内挿術があります。どちらを行った方が良いかは症例により異なります。ステントグラフト内挿術は心臓外科が担当しています。
開腹術では全身麻酔下に開腹し動脈瘤を人工血管に置換します。
症例により異なりますが待機手術では術後2週間前後で退院される方がほとんどです。
高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満などの危険因子をしっかり内科的に治療し、破裂の危険性が高いと判断されれば外科的治療の対象となります。
当院では4cm以上で急速な増大傾向(0.5cm以上/3か月)にあるものを手術適応としています。手術方法としては開腹による人工血管置換術と血管内治療によるステントグラフト内挿術があります。どちらを行った方が良いかは症例により異なります。ステントグラフト内挿術は心臓外科が担当しています。
開腹術では全身麻酔下に開腹し動脈瘤を人工血管に置換します。
症例により異なりますが待機手術では術後2週間前後で退院される方がほとんどです。
静脈病変/閉塞性疾患
静脈内に血栓が生じる病態です。血管外科では下肢深部静脈血栓症が対象疾患となります。肝静脈の血栓症はバッド・キアリ症候群と言われ消化器外科が担当する疾患です。
下肢深部静脈血栓症
心臓から動脈を通って各臓器へと運ばれてきた血液は静脈を介して心臓へと還流しています。下肢の静脈は主に筋肉の下を通っている深いところにある静脈(深部静脈)と浅いところを通っている表面の静脈(表在静脈)があります。下肢の静脈還流は深部静脈がその大部分を占めています。この深部静脈に血栓が生じた状態を下肢深部静脈血栓症と呼びます。静脈血のうっ滞や血液凝固能亢進が原因となります。
これらの状態は血栓性素因の疾患のみならず手術・脱水・がん・エストロゲン製剤使用や長時間同じ姿勢で居続けることでも起こります。
血管径は心臓に近いほど太いため下肢の静脈血栓が剥がれて血流に乗ると途中で引っかかることなく心臓をくぐり抜けて肺動脈に引っかかることがありこれを肺塞栓症と呼びます。肺塞栓症予防のために下大静脈フィルター挿入適応例は放射線科にて対応しております。肺動脈が閉塞するとその先の肺胞にはガス交換のための血液が流れません。ガス交換不良となり、呼吸苦や胸痛、重症例ではショックから死に至ることもある疾患です。このため深部静脈血栓症の治療としては急性期には肺塞栓症予防のため床上安静のうえ血栓融解療法を行います。発症約10日から2週間で安静を解除し抗凝血療法を行います。
これらの状態は血栓性素因の疾患のみならず手術・脱水・がん・エストロゲン製剤使用や長時間同じ姿勢で居続けることでも起こります。
血管径は心臓に近いほど太いため下肢の静脈血栓が剥がれて血流に乗ると途中で引っかかることなく心臓をくぐり抜けて肺動脈に引っかかることがありこれを肺塞栓症と呼びます。肺塞栓症予防のために下大静脈フィルター挿入適応例は放射線科にて対応しております。肺動脈が閉塞するとその先の肺胞にはガス交換のための血液が流れません。ガス交換不良となり、呼吸苦や胸痛、重症例ではショックから死に至ることもある疾患です。このため深部静脈血栓症の治療としては急性期には肺塞栓症予防のため床上安静のうえ血栓融解療法を行います。発症約10日から2週間で安静を解除し抗凝血療法を行います。
静脈病変/拡張性疾患
下肢静脈瘤
下肢静脈には深いところにある深部静脈と浅いところを通っている表在静脈(大・小伏在静脈)それらを結ぶ静脈(交通枝)があります。これらの静脈内には逆流防止弁が備わっています。一次性(原発性)の原因は表在静脈(大・小伏在静脈)および交通枝の弁不全です。逆流した静脈血により表在静脈が拡張・蛇行するものです。二次性(続発性)の原因は深部静脈血栓症により側副路として静脈が拡張・蛇行するものです。症状はだるさやむくみなどがあります。また脚がつりやすいというのも特徴的な症状です。
進行すると、皮膚に色が付いてしまったり(色素沈着)、皮膚が炎症を起こしたり(静脈うっ滞性皮膚炎)、重症の場合は皮膚に欠損(潰瘍)を形成してしまう(静脈うっ滞性潰瘍)こともあります。
保存療法は下肢挙上、弾力ストッキング着用などの圧迫療法があります。美容上問題時は硬化療法。症状の強いものは手術療法を行います。大(小)伏在静脈の高位結紮と抜去術(ストリッピング)と不全交通枝の結紮術が基本です。詳しくはこちら
進行すると、皮膚に色が付いてしまったり(色素沈着)、皮膚が炎症を起こしたり(静脈うっ滞性皮膚炎)、重症の場合は皮膚に欠損(潰瘍)を形成してしまう(静脈うっ滞性潰瘍)こともあります。
保存療法は下肢挙上、弾力ストッキング着用などの圧迫療法があります。美容上問題時は硬化療法。症状の強いものは手術療法を行います。大(小)伏在静脈の高位結紮と抜去術(ストリッピング)と不全交通枝の結紮術が基本です。詳しくはこちら
下肢静脈瘤についての注意事項
肺塞栓の原因となるような記述が散見されますが下肢静脈瘤は深部静脈血栓症と直接的な関係はなく、下肢静脈瘤がそれ単独で深部静脈血栓症の原因となるというわけではありません。したがって深部静脈血栓症になることを恐れて、症状がないのに下肢静脈瘤を治療する必要性はありません。下肢静脈瘤は基本的には命にかかわらない良性の病気なので、治療を受けるかどうか、いつ受けるかは患者さま次第です。長年病気に悩んでから外来に来られる方が多いので、この際思いきってきれいに治したいということでもいいですし、病気のことがよくわかって安心したからとりあえず様子を見たいということでもよいと思います。但し、下腿に潰瘍ができているか、過去にできたことがある方、皮膚に色が付いたり固くなっている方は、手術を受けた方がよいと思います。またお仕事が立ち仕事で、これからも長い間その仕事を続ける予定の方もできれば手術を受けることをお勧めします。